ある人がいる。
その人は、えらく人から嫌われ、頭がおかしいと言われることもしばしば。
しかし、彼の知識は半端ではない。単なる知識ではなく、洞察力、
知識から真実を解く天才。

彼にたまに言われることは、「おまえはおれの100分の1の知識しかない。」と。
(彼が自分以外で彼との知識量を比較する言動を聞いたことがないから、自分としては
ほめ言葉と解釈している。)
そして、「そのとおり。」と答えるしかない自分。きっと一生彼に勝つ人に出会うことは
ないだろう。

しかし、彼はその知識から生まれる洞察力、先見の明をまったく生かしていない。
地位も金もない。
どう考えてもちょっと執着心があれば、えらいことになっていたと思う。
そんな彼が不思議で、ある日質問をした。
「なんでそんなに勉強するの?」
「勉強したいからに決まっているだろ。あほか。」
出会ってからずいぶんたったが、彼から自分は直接アドバイスや命令、指導をされたことは
ほとんどない。
もちろん、だめなんて言われるはずもない。
世間では単なるハチャメチャ男だが、
彼ほど、ストレートに生きる人を自分は知らない。
歴史上の人物やメディアに出てくる人物を含めても。
彼の人生哲学。
すべての選択は、「好きか嫌いか」 ただそれだけ。
嫌いなことはやらない。嫌いなものは食わない。健康に悪いかなんて無関心。
人にどう思われるかなんて無関心。知識を生かす、努力の見返りを求める、なんて無関心。
人は、何かと迷う。そこでほとんどが「損か得か」というそろばんをはじく。

自分は彼から教わった。人生は、シンプルでいいんだと。
迷ったときは、「好きか嫌いか」で選べばいいと。
恋愛、食べ物、音楽・・・ このカテゴリーでよく「好き」という言葉を聞く。
自分は、自分の生き方が好きでありたい。

この瞬間の生き方が好きでない自分を排除したいと日々考えている。
彼ほど徹底的に生きることはできない。
だけど、
単純に、
「好きか嫌いか」で生きて行きたい。
迷ったときの自分のよりどころ。
こんなすばらしいことを身をもって、教えてくれてありがとう。