はすきい

二川校、昨日、学判告知なり。
二川中、二年は枕草子の範囲になるゆゑ、
自習教室にて補習の予定なるが、
清少納言の、
「夏は夜、月のころはさらなり。闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる」
と言ひけるにインスパイアされ、
先の日曜の夜、蛍を見むとて、東陽中学校の近くの川に行きけり。

川の傍に田ありて、
闇にかはづの鳴くがあまた聞こえたるは、いとをかし。

蛍、あまた飛びちがひて、幻のごとく瞬きたり。
されども、車道の近きゆゑ、
車の通りたるをり、ヘッドライトに照らされて蛍の光のかすみたるは、わろし。

川より離れて迷ひ飛びたる蛍、
手を差し伸べたるに、我が指先に止まりけり。
しばし我が手の平にとどまりて、あやしく光りたり。

写真を撮らむと構へたるも、
我がアンドロイド、いと古きにてナイトモードのよろしからざれば、
蛍の光、ことごとくぶれにけり。
(ブログの画像はネットで拾ひけり。)
それもまた、をかし。

日ごろ虫を恐れたる妻の、
「蛍に触れにけり!蛍に触れにけり!」などと騒ぎたるもをかし。

我が手に留まりたる蛍、
やがて指先に移りて、羽を広げて飛び去りにけり。

古の歌人、蛍を人の魂とぞ言ひける。

届かざる魂に触れむとするがごとく、我、幾度も手を掲げけり。
されども蛍、再び我が指先に触れず。