ハスキー

3日前、坊主頭にしました。

八幡校の授業で、
「先生髪ないじゃん!」(あるわ)
「何で?何で?」
と問い詰められましたが、
言い訳をさせていただくと、
こんなに短くする予定ではなかったです。

僕は基本的に自分で髪を切るのですが、
坊主は難しくて無理なので、
坊主にするときは、床屋に行きます。
今回もそうでした。

坊主経験者ならわかると思いますが、
バリカンで刈るときに、
バリカンの先につける何か器具みたいなのがあって、
それによって坊主の髪の長さが変わります。
僕は坊主にするときは、
だいたい1㎝にするので、
「1㎝くらいでお願いしたいんですが」と言うと、
「1.1㎝がありますけど」と床屋が言った。
確認だが、床屋が言った。
1.1㎝だ、と。
「じゃあ、それでお願いします」

で、いざバリバリバリとやり始めたら、
最初のひと刈りから、僕はギョッとした。
だって明らかに1㎝じゃねえもの。
経験したことがない短さだ。
完全に厳しい野球部とか和尚とかのそれだ。
これ、1.1㎝じゃない。
0.1㎝だ。

けど、もう遅いじゃん。
だって初手からセンターをバリバリバリってやられてるもん。
これがサイドからだったら、まだ修正がきいたかもしれないが、
センターだもん。
ていうかセンターからいく?
僕はかなり髪が伸びていたから、
瞬間的に落ち武者みたいになるじゃん。
床屋も絶対思ってるじゃん、
「こいつ落ち武者みたいだな」って。
あなたのせいですけどねえ!

向こうは全く過ちに気づいていないようで、
「いつも、こんなに伸ばしてからいっきに坊主にするんですか?」
とかのん気なことを聞いてくる。
内心では、
「まあ、こんなに短くしたことはねえけどな!」
とか思っているのだが、
おとなしい僕はそんなことはチラリとも見せず、
「そうですねー、だいたいそうですかね!」
とか朗らか&適当に答えてしまう。
こんな自分が嫌だ。

自分の髪がみるみる失われていく間、
僕は、
「2日で1㎜伸びるとして、
 1㎝、つまり10㎜伸びるには、
 2日:1㎜=x日:10㎜、
 x=20、
 何度計算しても、1㎝伸びるには20日間もかかる、
 ていうか髪って2日で1㎜伸びるの?」
というようなことを、暗い気持ちで考え続けていた。
(後で調べたら3日で1㎜くらいしか伸びなかった。x=30)

仕事から帰り、
眠っている妻に一応「ただいま」と声をかけると、
妻は少しだけ目を開けて、
「夫の髪がないん」
と幸せそうに微笑み、また眠りについた。
同じことが2日間続いた。
何が嬉しいのかさっぱりわからないが、
悲しんでいるのは僕だけのようで、まあよし。