ハスキー

豊橋市、二川校。

懐かしい名前の手紙が校舎に届いた。
十八年前の二川校の卒業生からだった。

彼がカイタク生になったのは、
二川校が開校された初年度。
僕は大学を卒業して開拓塾の1年目だった。
当たり前なんだけど、
今の彼はもう、その頃の僕よりずっと年上だ。
何だか不思議な感じがする。

手紙には、
たいそうかしこまった文体で、
彼の近況、
今どこでどんな仕事をして暮らしているのか、
家族のこと、
塾に通っていた頃のことなどが、
丁寧につづられていた。
そして、できれば一度、会って話せないか、と。
そんなのねえ、いいに決まってるっしょ。

懐かしい。
開拓塾で教えるようになった僕が、
たぶん、初めて授業後に残して教えた生徒だった。
もの静かだけど、率直で、気持ちが爽やかで、
自分の気持ちをきちんと伝える、いい子だった。
「この手紙が先生に届いているのかはわかりません」という中で誠実につづったのが、
何だか、とても彼らしい。

どんな大人になったのかな。
何にせよ、きちんと元気で生きていて、よかった。
卒業生が訪ねてきたり、便りをくれたりするときは、
いつもそう思う。
また会おう。