ハスキー

昨日、車を車検に出した。
今日、二川校で保護者の方との面談に行く途中、
その車をフォルクスワーゲンに取りに行ったのだが。

借りていた代車を店舗の入り口正面の駐車場に停めて、
歩きかけると、少し離れた奥の整備場みたいなところに、
僕のビートルがあるのが見えた。
で、運転席に人が座っている。
まだ何かやってくれてんのかな、と思って何気なく運転席に座っている人を見て、
一瞬、ゾッとした。

俺だ。

その瞬間は、本当にそう思った。
現実感が遠のいて、思考が完全に停止した。

似ているとか、そういうレベルではなかった。
僕が思う、僕がこの世にこういうふうに存在しているのだろう、
というイメージをそのまま形にしたような人間が、
運転席で、白いイヤホンをつけて(?)、うつむいている。
ただし、髪が僕よりもっと短かった。
だから正確には、一か月くらい前の、俺だ。

僕は思わずふらふらとビートルに近づいたが、
そこでビートルのエンジンがかかっているのがわかって、
なぜか、急に現実に戻った。

あれは単に整備をしている、僕に横顔が似た人だ、
というノーマルな思考が戻ってきた。

そこで、入り口から「箸本さん」とフォルクスワーゲンの若者に呼ばれて、
僕はそちらへ向かった。
もう一度ビートルの方を見ると、
男は消えていた・・・なんてことはもちろんなくて、
普通にいた。

店舗の中で車検の説明を受けたが、
僕は先ほどの一件がどうにも気になって、
ほとんど聞いていなかった。
説明は5分くらいで終わり、
最後に担当の女性が「何か質問はございますか?」と聞くので、
「あの、ここで整備している人で、僕に似た人います?」
と不審な質問をしたのだが、
「ええと・・・」と不審な顔をされただけだった。
まあそうなるわな。

いやーびっくりした。
あんなのがいるとは。
確かめに行けばよかったけど、
まあ、明るいところで正面から見たら、
「全然似てないじゃん」ってなるような感じなんだろうと思う。
それにしてもなあ。
瞬間的な驚きランキングでは、今のところ今年1位だ。