仕事上での苦しみの多くは、きっと「求不得苦」だろう。

求不得苦(ぐふとっく)とは、八苦のなかのひとつで、
手に入れたいものが、手に入らない苦しみを指す。
そして、その苦しみから逃れる考えは、「知足」だそうです。
知足とは、知っている足ではありません。つまらんね。
知足とは、「足るを知る」、つまり、今あるものに満足をし、
今あるものを生かしきること。
 

塾講師であれば、生徒に認められたいけど、認められない。
これが、求不得苦。
そんな時、人は、「なにをやってもうまくいかない。」と言い出す。
私は、聞きたくなる。「じゃあ、あなたは、なにをしたの?」
もちろん、たいしたことをしていないことが99%だろう。

ゴルフで、「今日はなにやってもだめだ。」
これはいい。今日という日に限定している。
自分の失敗に対する努力の主張は、低い。

「なにをやってもうまくいかない。」は
「夢も希望もない。」とさして変わらない。

自分は、生涯この言葉を口にしたくない。
努力したのに、努力したのに、と大したことをしてもいないのに、
相手に言い、そして、未来に何の期待もしない言葉
を伝える意味がどこにあるのだろう。

今年、ある社員が「何をやっても、怒られる。」
と同僚に愚痴をこぼした。

私は、その社員に、冷静な口調で
「愚痴は言っていい。しかし、その言葉は、言ってはいけない。」と、
そして、「何をやっても怒られるという言葉を吐いて、成長はしない。
自分が正しいといってるだけだ。会社でいいことしまくって、怒られる
やつなんているか?いないよな。自分のふがいなさを嘆くのはいい。
しかし、自分がだめなのに、自己肯定して、他者を否定してはいけない。
もう、2度と言うなよ。」

人は、思い通りにならないことが、苦しいと考えがちだが、
思い通りにならないことは、まったく苦しいことではない。

「えーーー。なにいってるの?おまえ、あほか。」と思う人もいるでしょう。

思い通りにならない、なんて毎日。
青信号でずっと車を会社まで走りたいが、走ったことはない。
きっと、みんなもそうだろう。
しかし、そのとき苦しいですか?苦しくはないですよね。

だから、思い通りにならないことは、苦しいことではない。

思い通りにならないことを、思い通りにしたいとき、
人は、苦しくなる。

赤信号は、思い通りにならないことを受け入れている。

仕事で、思い通りにならないことは、自分の小さな努力を
持ち出して、受け入れない。
「努力したら、夢は必ずかなう。」と小さなころに教わったことを
大切にしすぎていないか?

努力は、思い通りになる万能のはずがない。
仮に、努力をすれば、必ず報われるという方程式の中に
人生があったとしたら、楽しいであろうか?
どきどきするであろうか?結果は、わかっているんだ。
未来は、確定されているんだ。
努力は、希望、期待というかすかな光にすぎない。
だから、より努力できる。そして、どきどきできる。
一瞬の報いを求めて。

自分は、思う。
努力して、報われないことはつらいかもしれない。
しかし、しょせん、自己責任だ。そして、また新たな
努力で報われる可能性が今日から始まる。
努力しても、どうにもならないこと、例えば、
愛する人がこの世から去る。
大切な人が、不幸である。

こちらのほうが、ずっと苦しいように思う。

100日努力してだめだった。
でも、また100日努力すれば、手に入れることができるかもしれない。

かすかな光があるか、ないかは大きい。

一生涯で、苦しいという感情は、
「20回以内にしよう。」そうしないときりがない。
変な話だが、自分の親、兄弟、親友、同師の死
これだけで、15回を超える可能性がある。
まあ、自分は長男で、同師の中では最高齢であるから、
2回で終わるかもしれないが。
そうだったら、もちろん5回以内。
苦しいを使いすぎてはいけない。
へこむのもそう。
このカード、使って喜ぶ人、ゼロ人だから。
自分が苦しいですまないことにきづかないといけない。
周りには数多くの人間がいる。
苦しい姿を見て、苦しくなる人がいることを知らないといけない。
自己感情で、完結するものではないから、自分との戦いで
財布から簡単にこのカードをださないようにしないと。
あとから、借金まみれのごとく、そのまま自分に振りかざしてくるだけ。
思い通りになるが前ではなく、人生は思い通りにならないが前。
自分が生を受けた瞬間から始まっている。誰も親を選べない。

思い通りにならないことを明るく受けとめたい。
思い通りにならないから、生きている。

思い通りになった瞬間、次の思い通りにならないことを
探すのが人生。

その繰り返し。
思い通りにならないものに出会えてる喜びを抱え、
生きて行きたい。
「社長は、いいよなあ。何でも決めれて、おもいどおりで。」

社長の指示をどれだけ、忠実に従業員が行うだろうか。
ちょっとやそっとでへこたれない、考え方を日々伝えて、
どれだけの人が強く生きているだろう。

平社員も社長も同じ。
思い通りに永遠にならない。
社長はなぜ、会社を大きくしたいのだろう?
少なくとも、社員が増えれば、増えるほど、思い通りにならない
事なんて、百も承知なのに。
きっと、5人で思い通りになって、10人。
そして、50人。思い通りにならない
アイテムがほしいのだろう。

思い通りにならないから、
やっぱりおれは、明日も生きていく。